東レ/高速道路の吸音材
2006年12月06日 (水曜日)
東レは高速道路の遮音板用ポリエステル吸音材「シンセファイバー」を開発した。2007年1月から吸音材の専門商社、村商(埼玉県川口市)を通じ、パネル、建材メーカー向けに販売、初年度1億円、3年後3億円の売り上げを見込む。
高速道路の遮音板の主要部分である標準型遮音板(略称、統一板)にはグラスウールなどが使われるが、ポリエステル繊維使いは初めて。昨年から日本道路公団が統一板にポリエステル繊維の使用を認めたため本格販売に踏み切ることにした。
同吸音材は3層構造の複合不織布で、表層には同社のポリエステルスパンボンド不織布「アクスター」(撥水加工、不燃加工品)、中層には細繊度繊維、下層には太繊度繊維(再生ポリエステル中心)による短繊維不織布を使用。熱融着繊維により成型している。
細繊度、太繊度不織布の2層構造により、高周波、低周波の音を吸収。吸音性能はグラスウールと同程度で、日本道路公団の定める吸音率基準値をクリアしている。しかも目付が24キログラムとグラスウールよりも軽い。
また、グラスウール製のように繊維が折れやすく、折れた繊維が飛散することによるチクチク感もなく、作業性を改善できるメリットもある。タイプは長さ1830ミリ、1910ミリ(厚さ50ミリ、幅480ミリ)の2品種。価格はグラスウール製並み。同社によると、統一板に使用する吸音材の市場規模は年間50万~100万枚で、現在は補修中心。新規は減っているという。統一板だけでなく、将来的には一般道や新幹線など鉄道向けの採用も目指す。
ただ、安藤敏彦短繊維事業部長はシンセファイバーのような不織布製品事業について「不織布メーカーと連携しながらできる範囲で次の工程に進むが、あくまでもポリエステル短繊維販売が基本」とし、末端市場にワークするものの、不織布製品事業へ傾斜するわけではないとしている。