ごえんぼう
2023年11月09日 (木曜日)
1966年に静岡県で一家4人が殺害された事件で死刑が確定し、再審が決まった袴田巌さんの公判が静岡地裁で始まった▼実に57年の間、裁判で争ってきた袴田さんと姉のひで子さんを思うと言葉もない。袴田さん87歳、ひで子さん90歳。弁護団が証拠の提出を求め続け、30年後に明らかになったのは「5点の衣類」である。血痕のついた衣類はみそタンクにあったが赤く鮮明な血痕に弁護団は違和感を覚え、証拠のねつ造を疑っている▼先月の初公判には姉のひで子さんが出廷し、改めて無罪判決を求めた。ひで子さんは以前に「弁護士や支援者も敵に見えた」と述懐している。殺人犯の姉に対する誹謗中傷は想像に難くない。それでも闘い続けた▼ひで子さんは2014年に再審が決定した時と同じ、ベージュ色のジャケットを着ていた。ゲンを担いだのだろうか。無罪判決の際、あのジャケットを着て力強く話す姿を見てみたい。