ごえんぼう

2024年03月15日 (金曜日)

 最近よく「えぐい」と言うわが子。「来週のスケジュールがえぐい」「○○のうまさがえぐい」など、良くも悪くも「すごい」「際立っている」場合に使う▼少し前までは同じ意味合いで「やばい」と言っていた。若者言葉の変化は激しい。美しさは感じられず、語彙力の乏しさも気になるが、直感的な表現や世相が反映されている点で、若者言葉は面白い▼対極にあるのが常套句だろう。同じような場面で長く用いられる決まり文句。「お世話になっております」などのビジネスの定型句や慣用句はもちろん、「Z世代は……」といった十把一絡げの表現もそう。便利だが、頼り過ぎは禁物だ。人は言葉で考える。型通りの言葉は型通りの思考の表れ。若者言葉にも言える▼哲学者のルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインは「私の言語の限界が私の世界の限界を意味する」と言った。言葉選びは考えること。十分吟味し、世界を広げたい。